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介護職は無資格で働けなくなる?
介護職は、多くの人々にとって、資格や経験がなくても入職しやすく、成長できるフィールドとして広く認識されています。この職種は、特に高齢化が進む日本社会において、非常に重要な役割を果たしています。未経験者や無資格者でも、研修や実務経験を通じて、専門的な知識や技術を身につけることができます。
しかし、近年の介護の質の向上を目指す動きの中で、2024年には「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられることが決まりました。この変更は、認知症の高齢者に対する適切なケアを提供するためのものであり、介護職員のスキルアップを促進することを目的としています。この新しい制度の導入により、無資格での介護職の働き方やキャリアパスが、これまでとは異なる方向に進む可能性が高まっています。従って、現在無資格で介護職に従事している方や、これから介護職を目指す方は、この新しい研修制度についての情報をしっかりと把握し、適切な対応を考える必要があるでしょう。
2024年3月末まで介護職は無資格でも働ける
2024年4月から、介護職において「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられることが正式に決定されました。この研修は、認知症の高齢者に対する適切なケアやサポートを提供するための基礎的な知識や技術を身につけることを目的としています。この制度の導入は、認知症の高齢者が増加する中での介護の質の向上を図るためのものであり、介護職員のスキルアップを促進することを期待されています。
一方で、この新しい制度の導入に伴い、2021年から2024年3月までの期間は「経過措置期間」として位置づけられています。この期間中は、新たに「認知症介護基礎研修」の受講が義務付けられる前のルールが適用されるため、研修を受講していない、いわゆる無資格の状態でも介護職としての勤務が許可されています。ただし、この期間は「努力義務」とされており、できるだけ多くの職員が研修を受講することが推奨されています。
この経過措置期間は、事業者や介護職員にとって、新しい制度への適応や準備の時間として非常に重要です。事業者はこの期間を利用して、スタッフの研修計画を立てたり、研修の機会を増やすなどの取り組みを進めることが求められるでしょう。
無資格の新入職員には1年の受講猶予期間がある
認知症介護基礎研修の受講が義務化された後も、新入職員には1年間の受講猶予期間が設けられています。この期間内に研修を受講することで、無資格でも介護職として働き続けることが可能です。
認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修は、認知症の高齢者に対する専門的なケアを行うための基盤となる知識や技術を身につけるための公的な研修プログラムです。この研修は、認知症の高齢者が増加する現代社会において、介護職員が質の高いサービスを提供するための必須のスキルを習得することを目的として設計されています。具体的には、認知症の原因や症状、適切なコミュニケーション方法など、日常のケアに必要な知識を深めることができます。
認知症介護基礎研修:1日でのスピード取得方法
この研修は、講義と実技の演習の2つの科目で構成されており、それぞれが認知症ケアの異なる側面をカバーしています。講義では、認知症の基礎知識やケアの理論について学び、演習では実際のケアのシミュレーションを行います。全体として、この研修は約6時間の内容となっており、集中して受講すれば1日で修了することができます。
デジタル時代の認知症介護基礎研修:オンライン受講のメリット
近年、テクノロジーの進化に伴い、多くの自治体や教育機関がeラーニングを活用した認知症介護基礎研修の提供を開始しています。このオンライン方式の最大の利点は、場所や時間に縛られず、自分のペースで研修を受講できる点にあります。特に、現場での業務が忙しい介護職員にとっては、働きながらでもスキルアップを目指すことができる大きなメリットとなっています。
認知症介護基礎研修の受講料:平均コスト
認知症介護基礎研修の受講料は、提供する自治体や教育機関によって異なる場合があります。しかし、大まかに言えば、数千円の範囲での受講が可能です。多くの人が比較的手頃な価格で研修を受講することができます。
認知症介護基礎研修の受講免除について
認知症介護基礎研修は、認知症に関する基本的な知識や技術を習得することを目的としています。しかし、すでにこれらの知識や技術を十分に持っていると認められる人には、研修の受講が免除される場合が設けられています。
例えば、介護福祉士やケアマネージャーといった、特定の資格を持つ専門家は、その資格取得の過程で認知症に関する深い知識や技術を習得していると認められ、研修の受講が免除されることがあります。
また、認知症ケア専門士や認知症サポーター研修など、特定の研修や課程をすでに受講・修了している人も、その経験を評価されて認知症介護基礎研修の受講が免除されることが考えられます。
認知症介護基礎研修と初任者研修どちらを選ぶべきか
2024年以降の介護業界の動向として、無資格の方が介護職として働くためには、認知症介護基礎研修または初任者研修のいずれかの研修を受講し、その資格を取得することが必須となります。
認知症介護基礎研修は、認知症の患者さんに特化したケアの基本的な知識や技術を習得するための研修です。この研修を通じて、認知症の患者さんの特性やニーズを深く理解し、それに応じた適切なサポートやケアを提供する能力を身につけることができます。
一方、初任者研修は、介護職としての基本的な役割や業務内容を幅広く学ぶための研修です。この研修では、身体的なケアやコミュニケーションの方法、安全管理など、介護職員としての基本的な知識や技術を総合的に学ぶことができます。
どちらの研修を選択するかは、自身のキャリアプランや、特に深く学びたい分野、目指す職種や役割によって異なります。しかし、どちらの研修を選択するにせよ、2024年以降は無資格のまま介護職に就くことは難しくなると予想されます。したがって、介護職を目指す方は、早めに研修を受講し、資格を取得することをおすすめします。
無資格者のベスト求人情報と選び方
無資格で介護職を目指す方には、研修受講のサポートや、実務経験を積むことができる求人がおすすめです。また、資格取得をサポートする企業や、研修費用の補助がある求人も多く存在します。
無資格の介護職についてのよくある質問
介護の仕事は無資格・未経験だと大変なの?
介護の仕事は、無資格・未経験でも始められますが、実務経験を積むことでスキルアップが期待できます。また、資格を取得することで、より専門的なケアが可能となります。
無資格の介護職の給与はどれくらいもらえるの?
無資格の介護職の給与は、経験や勤務地、施設の種類によって異なります。しかし、資格を取得することで給与アップのチャンスも増えます。
介護職が無資格でできることは何?
無資格の介護職でも、日常生活のサポートやレクリエーションのサポート、食事や入浴のサポートなど、基本的なケア業務を行うことができます。しかし、専門的なケアや医療的なケアは、資格を持つ職員が行います。
まとめ
2024年の変革は、介護職のスタンダードを新たに定義するものとなるでしょう。資格や研修を持つことで、より高品質なケアを提供することが期待されます。無資格での働き方も変わるかもしれませんが、それは新たなチャンスとして捉え、自身のスキルや知識を高める絶好の機会となるでしょう。
この記事があなたの問題解決の一助となれば幸いです。
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介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにてブライダルマーケットの営業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:離職率5割削減、採用単価3万円、人材紹介・人材派遣0、人材紹介会社費用の9割減、利益率4倍等。