目次
1. 2024年介護保険制度改定の背景
介護保険制度は、要介護認定や要支援認定を受けた方が介護サービスを受けられる制度です。この制度は2000年に施行され、定期的な見直しが行われてきました。特に、2025年に団塊世代が後期高齢者となることから、2024年度の制度改定はこれからの介護経営において非常に重要な改定になると考えられます。
2. 2024年介護保険制度改定の注目ポイント
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訪問介護通所介護の複合型サービスの創設
訪問介護と通所介護を複合化を検討。デイサービスからの参入が想定されます。単独の訪問介護事業所は採用面での課題が厳しく、今後はこの複合型サービスが主流になるのでは無いかと考えられます。
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2割自己負担の対象拡大
自己負担の割合を増やすことが検討されています。利用を控える利用者が想定されますがケアマネジャーの考え方も大きく影響しそうです。
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財務諸表の公表義務化
介護サービス事業所の財務諸表が公開され、事業所の経営状態を確認できるようになります。事業内容、売上、利益が明確になるため、民間介護事業者は準備と対策が必要になります。また、より透明性の高い経営が求められます。
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処遇改善加算の一本化
介護職員の処遇改善に関する加算が一本化され、生産性の向上が期待されています。
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科学的介護の推進
データ収集システム「life」の活用が本格化しそうです。今後「life」への取組みは必須化となります。
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小規模法人の大規模化
小規模法人は生き残りが難しい時代になりました。大規模化を視野にいれた経営が求められています。
3. 見送りが決定した事項
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要介護1~2における総合事業への移行
要介護1~2の訪問介護や通所介護などを総合事業にする構想は見送られました。
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ケアプランの有料化
ケアプランの有料化も見送りが決定しました。
4. 介護業界のデジタルトランスフォーメーション
介護業界も他の産業と同様に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。特に2024年の介護報酬改定において、データ収集システム「life」の導入が注目されています。
データ収集システム「life」とは?
「life」は、介護業界でのデータ収集を目的としたシステムです。このシステムを利用することで、介護サービスの質を向上させるためのデータを収集・分析することができます。具体的には、利用者の健康状態や介護サービスの利用状況など、様々なデータをリアルタイムで収集することができます。
デジタルトランスフォーメーションのメリット
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質の高いサービスの提供
データを基にしたサービス提供が可能となり、利用者に合わせた最適なサービスを提供することができます。
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業務効率の向上
データの収集・分析により、業務の無駄を削減し、効率的なサービス提供が期待されます。
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新しいサービスの創出
データを活用することで、新しいサービスやビジネスモデルの創出が期待されます。
介護業界におけるデジタルトランスフォーメーションは、今後のサービス提供や経営において非常に重要な要素となってきます。2024年の介護報酬改定を機に、多くの事業者がデジタルトランスフォーメーションを進めることが期待されます。
詳細についてご興味があればお気軽にお問い合わせ下さい。
https://kaigo-keiei-labo.jp/contact/
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにてブライダルマーケットの営業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:離職率5割削減、採用単価3万円、人材紹介・人材派遣0、人材紹介会社費用の9割減、利益率4倍等。