case study
事例紹介

2023.07.18
施設運営
 

介護保険制度 要支援認定受け入れ増加に伴う売上低下について

1. 介護保険制度と要支援認定の概要

皆さん、こんにちは。今日は介護事業者としての視点から、「介護保険制度」と「要支援認定」について考えていきたいと思います。

まず、「介護保険制度」について説明します。これは、高齢者や障害を持つ人々が必要な介護サービスを受けられるようにするための制度です。国や地方自治体、そしてサービスを受ける人々の負担で運営されています。私たち介護事業者は、この制度の下でサービスを提供し、その対価として保険から報酬を受け取ります。

次に、「要支援認定」について説明します。これは、介護保険制度の一部で、どれくらい介護が必要なのかを評価するためのものです。この認定を受けると、私たちが提供する専門の介護サービスを受けることができます。しかし、認定を受けるかどうかは自由で、受けることを断ることもできます。

これらの制度は、私たち介護事業者の業務に大きな影響を与えます。介護保険制度は、私たちが提供するサービスの対価を決定し、要支援認定は、そのサービスの対象者を決定します。したがって、これらの制度を理解し、適切に対応することが、私たち介護事業者にとって非常に重要です。

それでは、次の章で具体的に要支援認定の単価とその影響について見ていきましょう。

2. 要支援認定の単価とその影響

要支援認定を受けた方々へのサービス提供に対する単価が低いという事実は、介護事業者にとって大きな問題となっています。具体的には、要支援1・2の方々へのサービス提供に対する単価は、要介護認定を受けた方々へのそれよりも低く設定されています。これは、要支援認定を受けた方々の介護ニーズが要介護認定を受けた方々よりも低いと考えられるためです。

しかし、これが介護事業者の経営にどのような影響を及ぼすのでしょうか。一つは、収益性の観点から見ると、単価が低い要支援の方々をサービス対象から外すという選択をする事業者もいるかもしれません。これは、特に人件費が高騰する中で、一人当たりのサービス提供にかかるコストと単価とのバランスを考えると、経営上の判断として理解できます。

しかし、その一方で、要支援の方々をサービス対象から外すことは、介護事業者としての社会的な役割を果たす上で問題となる可能性があります。なぜなら、要支援の方々もまた、介護サービスを必要としている高齢者の一部であり、彼らに対するサービス提供は、地域社会の福祉を支える重要な役割を果たします。

また、要支援の方々をサービス対象から外すことは、長期的な視点から見ても問題となる可能性があります。要支援の方々は、将来的に要介護状態に移行する可能性があります。そのため、早い段階から関わり、信頼関係を築くことで、将来的にはより高い単価のサービスを提供する機会につながるかもしれません。

以上のように、要支援認定の単価が低いという事実は、介護事業者の経営に様々な影響を及ぼします。次の章では、これらの課題をどのように捉え、どのように対応すべきかについて考えていきましょう。

3. 社会福祉への貢献と経営のバランス

介護事業者として、私たちは経営の安定と社会福祉への貢献という二つの大きな目標を同時に追求しています。しかし、これら二つの目標は常に一致するわけではありません。特に、要支援認定の単価が低いという現状では、経営の安定を優先すると社会福祉への貢献が犠牲になる可能性があります。

しかし、私たちは介護事業者として、社会福祉への貢献を忘れてはなりません。私たちのサービスは、高齢者の方々が安心して生活できる社会を実現するための重要な一部です。そのため、経営の安定と社会福祉への貢献という二つの目標をどのようにバランスさせるかは、私たちにとって重要な課題となります。

具体的には、単価が低い要支援の方々をサービス対象から外すのではなく、どのようにして効率的にサービスを提供できるかを考えることが求められます。例えば、要支援の方々へのサービス提供に必要な人員配置を工夫したり、サービスの提供方法を見直したりすることで、単価の低さを補うことが可能かもしれません。

4. 要支援者を未来のお客様と捉える視点

さらに、要支援者を未来の重要なお客様と捉える視点も重要です。要支援の方々は、現在は軽度の介護が必要な方々ですが、将来的には要介護状態に移行する可能性があります。そのため、早い段階から関わり、信頼関係を築くことで、将来的にはより高い単価のサービスを提供する機会につながるかもしれません。

また、要支援の方々へのサービス提供は、介護事業者としての社会的な役割を果たす上でも重要です。地域社会における高齢者の安心・安全を支えるためには、要支援の方々へのサービス提供も欠かせません。

以上のように、要支援者を未来のお客様と捉え、積極的にサービスを提供することは、介護事業者としての社会的な役割を果たすとともに、経営の視点からもメリットがあると言えます。次の章では、これらの視点を踏まえ、地方の高齢者減少という現状にどのように対応すべきかについて考えていきましょう。

5. 地方の高齢者減少と介護事業

一部の地方では、高齢者の人口が減少しているという現状があります。これは、若者の都市部への流出や、高齢者の自然減によるものです。このような状況下では、介護事業者としての経営が厳しくなる可能性があります。なぜなら、高齢者の人口が減少すれば、それだけサービスを提供する対象者が減少し、収益も減少するからです。

しかし、このような状況下でも、要支援者を含む全ての高齢者を対象としたサービス提供の重要性は変わりません。地方の高齢者の人口が減少しているという現状を踏まえても、残された高齢者の方々に対するサービスの需要は依然として高いです。そのため、要支援者を含む全ての高齢者を対象としたサービス提供は、地方の介護事業者にとって重要な戦略となります。

6. 経営の質を高めるための戦略

要支援者を含む全ての高齢者を対象としたサービス提供を通じて、経営の質を高めるための具体的な戦略を提案します。まず、要支援者へのサービス提供を通じて、介護事業者としての社会的な役割を果たすことができます。また、要支援者へのサービス提供は、将来的に要介護状態に移行する可能性のある高齢者との関係構築の機会でもあります。このような視点から、要支援者へのサービス提供は、経営の質を高めるための重要な戦略となります。

7. まとめ

本記事では、「介護保険制度と要支援認定 – 介護事業者として断るべきか、受け入れるべきか?」というテーマについて考察しました。結論として、要支援者を含む全ての高齢者を対象としたサービス提供は、介護事業者としての社会的な役割を果たすとともに、経営の質を高めるための重要な戦略であると言えます。

介護事業者として、経営の安定と社会福祉への貢献という二つの目標を同時に追求することは容易なことではありません。しかし、要支援者を含む全ての高齢者を対象としたサービス提供を通じて、これらの目標を達成する道筋が見えてきます。今後も、この視点を忘れずに、より良いサービス提供を目指していきましょう。

介護経営総合研究所
コンサルタント:五十嵐
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