case study
事例紹介

2024.10.03
介護事業
 
News
 

H.C.R.2024 第51回国際福祉機器展&フォーラムに行って来ました!

10月2日、約10年ぶりに東京ビッグサイトで開催された「H.C.R.2024 第51回国際福祉機器展&フォーラム」に足を運びました。早朝から多くの来場者で賑わう会場の熱気に、介護業界の活況を肌で感じることができました。

進化する介護記録システム

会場内で特に目を引いたのは、介護記録システムの進化です。多数のシステム関連ブースが立ち並び、その比較検討に戸惑うほどでした。中でも、ケアカルテとほのぼののブースに立ち寄りましたが、ケアカルテの展示からは特に勢いを感じました。

音声認識技術の活用

最新の介護記録システムでは、作業中に発生する声がそのまま記録として残せる機能が実装されています。これにより、介護スタッフは両手を自由に使いながら、リアルタイムで記録を取ることが可能になりました。

AIアシスタント機能

システムに対して質問ができる機能も搭載されており、介護スタッフの疑問にその場で答えてくれます。これにより、経験の浅いスタッフでも適切なケアを提供しやすくなると期待されます。

インカム連動型システム

システムはインカムと連動しており、スタッフ間のコミュニケーションがよりスムーズになりました。緊急時の対応や情報共有が格段に効率化されています。

こうした進化を目の当たりにし、「ついにここまで来たか」というのが正直な感想です。そして、これらのシステムがさらに進化していくことは間違いないでしょう。

AIの活用はこれから

一方で、AIを活用したプロダクトはまだ数が少ないという印象を受けました。介護業界におけるAI活用は今後の大きな課題であり、同時に大きな可能性を秘めていると言えるでしょう。

岡山市の高齢者支援プロジェクト

展示会では、岡山市の高齢者支援プロジェクトも注目を集めていました。地域に根ざした取り組みが、全国的な場で紹介されることの意義は大きいと感じました。

展示会の雰囲気

会場全体を見渡すと、人気のあるブースがある一方で、閑散としたブースも見受けられました。同時開催されていたDX総合EXPOと比較すると、やや落ち着いた印象を受けました。これは、介護業界の特性や、出展企業の戦略の違いを反映しているのかもしれません。

介護記録システムの重要性

介護記録システムの進化は、単なる技術革新にとどまらず、介護現場の働き方を大きく変える可能性を秘めています。従来、紙媒体で手書きされることが多かった介護記録が電子化されることで、業務効率が飛躍的に向上します。

業務効率化の実現

厚生労働省の報告によると、介護記録の電子化により、文書作成時間が30〜60分短縮されたケースが27.5%あったとされています。また、削減された文書量は1〜2割に上り、25.7%の施設で効果が見られました。

介護業務時間の増加

記録作業の効率化は、直接的な介護業務の時間増加にもつながります。15.2%の施設で、介護業務の時間が30〜60分増加したという報告があります。これは、利用者へのケアの質の向上に直結する重要な効果と言えるでしょう。

情報共有の円滑化

電子化された記録は、スタッフ間の情報共有を格段に円滑にします。実に88.0%の施設が情報共有の円滑化を実感したと報告しています。これにより、チームケアの質が向上し、利用者へのサービス向上につながることが期待されます。

エビデンスに基づくケアの実現

電子化された記録は、過去の情報の抽出や分析を容易にします。68.6%の施設が、根拠に基づく議論や意思決定が実現したと報告しています。これは、より科学的で効果的なケアの提供につながる重要な進歩と言えるでしょう。

今後の展望

今回の展示会を通じて、介護業界のデジタル化が着実に進んでいることを実感しました。特に介護記録システムの進化は目覚ましく、今後さらなる発展が期待されます。

一方で、AIの活用はまだ始まったばかりです。音声認識やAIアシスタント機能など、一部で先進的な取り組みが見られますが、今後はより広範囲でAIが活用されていくことでしょう。

また、岡山市の高齢者支援プロジェクトのような地域に根ざした取り組みも、今後ますます重要になってくると考えられます。全国各地の特色ある取り組みが、こうした展示会を通じて共有され、さらなる発展につながることを期待します。

介護業界は、テクノロジーの進化と人間味のあるケアの両立という難しい課題に直面しています。しかし、今回の展示会で見た最新のシステムや取り組みは、その両立の可能性を示唆するものでした。

帰り道に見た富士山の美しい姿に心が癒されたように、テクノロジーの力で業務効率を上げつつ、人間味のある温かいケアを提供する。そんな理想的な介護の未来が、徐々に形になりつつあるのを感じた素晴らしい一日となりました。

 

介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。