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2024.08.30
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介護事業者必読!介護経営強化ブログVOL.40 生産性の高い経営とは?

近年、グローバル競争が激化する中で、企業の生産性向上は重要な課題となっています。特に、海外の先進的な企業の事例から学ぶべき点は多く、日本企業にとっても貴重な示唆を与えてくれます。本コラムでは、生産性の高い経営の特徴と、それを実現するための具体的な方策について、海外の事例を交えながら解説していきます。

1. 心理的安全性が高いほど離職率が低く、収益性が高い

心理的安全性とは、チームメンバーが自由に意見を述べたり、リスクを取ったりしても、非難されたり罰せられたりすることがないと感じられる環境のことを指します。Googleの「Project Aristotle」という研究プロジェクトでは、高パフォーマンスチームの共通点として心理的安全性の重要性が明らかになりました。

実際に、心理的安全性が高い職場では以下のような効果が見られます:

離職率の低下:従業員が自分の意見や懸念を自由に表現できる環境では、ストレスが軽減され、職場への満足度が高まります。これにより、優秀な人材の流出を防ぐことができます。
収益性の向上:心理的安全性の高い環境では、従業員のエンゲージメントが高まり、生産性が向上します。これは直接的に企業の収益性に反映されます。

例えば、米国の保険会社Allstateでは、心理的安全性を高める取り組みを行った結果、従業員の離職率が24%減少し、生産性が7%向上したという報告があります。

2. イノベーションや改革が起こりやすい

心理的安全性の高い環境では、従業員が新しいアイデアを自由に提案したり、失敗を恐れずに挑戦したりすることができます。これは、イノベーションや改革を促進する重要な要素となります。

スウェーデンの家具メーカーIKEAでは、「Democratic Design」という概念を導入し、従業員が自由にアイデアを提案できる環境を整備しています。この結果、革新的な製品開発や業務プロセスの改善が継続的に行われ、同社の競争力向上に大きく貢献しています。

3. 意思決定の質が上がる

心理的安全性の高い組織では、多様な意見が尊重され、建設的な議論が行われやすくなります。これにより、意思決定の質が向上し、より良い結果につながります。

米国のテクノロジー企業Amazonでは、「異議を唱える文化」を重視しています。会議では誰もが自由に意見を述べることができ、それによって意思決定の質を高めています。この文化が、Amazonの迅速な意思決定と市場適応力の源となっています。

 4. 情報、知識が共有されやすくなる

心理的安全性の高い環境では、従業員間の信頼関係が構築され、情報や知識の共有が促進されます。これは、組織全体の学習能力と問題解決能力を高めることにつながります。

デンマークのおもちゃメーカーLEGOでは、「Knowledge Sharing」を重視し、従業員間の情報共有を積極的に推進しています。これにより、部門を超えたコラボレーションが活性化し、製品開発のスピードアップや品質向上につながっています。

5. 心理的柔軟性が必要

生産性の高い経営を実現するためには、心理的安全性に加えて、心理的柔軟性も重要です。心理的柔軟性とは、変化に適応し、新しい状況に柔軟に対応する能力のことを指します。

米国のIT企業Microsoftでは、「Growth Mindset」(成長思考)を企業文化の中心に据えています。これにより、従業員が常に学習し、変化に適応する姿勢を持つことができ、市場の変化に迅速に対応できる組織となっています。

6. 思考=現実からの脱出

高い生産性を実現するためには、既存の枠組みにとらわれない思考が必要です。これは、現実の制約から一時的に脱却し、新しい可能性を探ることを意味します。

英国の広告代理店BBH(Bartle Bogle Hegarty)では、「Black Sheep」というコンセプトを掲げ、常識にとらわれない独創的なアイデアを生み出すことを奨励しています。この文化が、同社の創造性と競争力の源泉となっています。

7. 行動分析

生産性向上のためには、現状の行動パターンを客観的に分析し、改善点を見出すことが重要です。

米国のeコマース企業Zapposでは、顧客サービス担当者の行動を詳細に分析し、最も効果的な対応方法を見出しています。この取り組みにより、顧客満足度の向上と業務効率化を同時に実現しています。

8. 言葉で大義を

組織の目的や価値観を明確に言語化し、共有することは、従業員のモチベーション向上と一体感の醸成に重要です。

米国のアウトドア用品メーカーPatagoniaでは、環境保護という明確な大義を掲げ、それを全従業員と共有しています。この大義が、従業員の仕事への誇りとモチベーションを高め、結果として高い生産性につながっています。

9. 学習するチームになる

常に学び続ける組織文化を構築することは、長期的な生産性向上に不可欠です。

シンガポールの航空会社Singapore Airlinesでは、「学習する組織」の概念を取り入れ、従業員の継続的な学習と成長を支援しています。この文化が、同社の高品質なサービスと効率的な運営を支えています。

まとめ

生産性の高い経営を実現するためには、心理的安全性の確保、イノベーションの促進、意思決定の質の向上、情報共有の活性化など、様々な要素が重要です。また、心理的柔軟性、既存の枠組みにとらわれない思考、行動分析、明確な大義の共有、そして継続的な学習も欠かせません。

これらの要素を自社の文化や状況に合わせて取り入れることで、日本企業も生産性の高い経営を実現し、グローバル競争で勝ち抜くことができるでしょう。重要なのは、これらの取り組みを一時的なものではなく、継続的に実践し、組織に根付かせていくことです。そうすることで、真の意味での生産性の高い経営が実現するのです。

介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、東京にて施設開設時に160人採用、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得、他多数。