目次
令和6年度の介護報酬改定では、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)についても様々な見直しが行われます。
今回は、グループホームに関する主な改定内容を解説していきます。
1. 基本報酬の引き上げ
グループホームの基本報酬は、要介護度に応じて設定されています。
今回の改定では、全ての要介護度において、基本報酬が1単位ずつ引き上げられます。
これは、グループホームにおけるケアの質の向上と職員の処遇改善を図るための措置と言えるでしょう。
2. 医療連携体制加算の見直し
医療連携体制加算については、医療ニーズへの対応強化を図る観点から、看護体制要件と医療的ケアが必要な者の受入要件を分けるなどの評価の見直しが行われます。
これにより、より多様な医療ニーズに対応できる体制の整備が期待されます。
訪問看護事業者は、今回の改定内容を確実に理解し、質の高いサービス提供と事業の効率化を両立させ、利用者のニーズに的確に応えていくことが期待されています。
3. 協力医療機関との連携体制の構築
グループホームは、入居者が急変した場合などに対応できるよう、協力医療機関との連携体制の構築が求められます。具体的には、以下の要件を満たす協力医療機関を定めるよう努めることとされています。
- 入居者が急変した場合などに、医師または看護職員が相談対応にあたる体制を常時確保していること
- 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること
4. 協力医療機関連携加算の創設
上記の協力医療機関との連携体制の構築を評価するため、新たに「協力医療機関連携加算」が創設されます。
この加算は、協力医療機関との間で、入居者が急変した場合などの対応を取り決め、定期的に連携を確認している場合に算定できます。
5. 看取り介護加算の見直し
看取り介護加算については、より手厚い看取りケアを評価する観点から、算定要件が見直されます。
具体的には、看取りに関する指針の内容の充実や、看取り期間中の手厚い介護の提供などが求められます。
6. 感染対策の強化
新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、グループホームにおける感染対策の強化が図られます。具体的には、以下のような取り組みが求められます。
- 感染対策向上加算の新設
- 新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携
- 業務継続計画(BCP)の策定
7. 認知症ケアの推進
グループホームは認知症高齢者のためのサービスであり、より質の高い認知症ケアの提供が期待されています。
令和6年度改定では、「認知症チームケア推進加算」が新設され、多職種協働によるチームケアを推進するための取り組みが評価されます。
8. 生産性向上の取り組みの推進
介護職員の処遇改善に関する加算は、処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算の3つに分かれていましたが、令和6年度からは「介護職員等処遇改善加算」に一本化されます。
また、加算率も引き上げられ、グループホームにおいても、介護職員の処遇改善が一層進むことが期待されています。
まとめ
令和6年度介護報酬改定は、新型コロナウイルス感染症や災害への対応力の強化、地域包括ケアシステムの推進、自立支援・重度化防止、介護人材の確保と処遇改善など、様々な課題に対応したものとなっています。
グループホームにおいても、協力医療機関との連携体制の構築や、感染症対策の強化、認知症ケアの質の向上、介護ロボットやICT等の活用による生産性の向上など、サービスの質の確保・向上に向けた取り組みが評価されることになります。
各事業者においては、自事業所の実情を踏まえつつ、改定内容を十分に理解し、利用者により質の高いサービスを提供していくことが期待されます。
介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得他多数。