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2024.04.10
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令和6年度 介護報酬改定について ~総論編~

介護事業者必見!2024年度介護報酬改定のポイント解説

2024年度の介護報酬改定は、私たち介護事業者にとって大変重要な節目となります。

今回の改定では、基本報酬が1.59%引き上げられ、処遇改善加算の一本化を含めると実質的に2.04%のプラス改定となりました。

これは単なる数字の変化だけではなく、介護現場のサービスの質の向上や職員の処遇改善など、介護事業者にとって切実な課題に直結しています。

介護事業者がこうした改定の趣旨をしっかりと理解し、日々の運営に活かしていくために、改定のポイントについて解説していきます。

 

介護報酬改定について

介護報酬改定とは、介護保険サービスを提供する事業者への報酬の改定をおこなうことです。

サービスの質の向上や適切な運営を促進するため、また社会や経済の変化に対応し介護保険制度を持続可能なものにするために、報酬体系のほかサービス内容の見直しもおこなわれます。

通常3年に1度行われ、2024年度(令和6年度)が改定の年にあたります。

これまでの改正の経緯

2024年度介護報酬改定の背景

2024年度の介護報酬改定は、私たち日本が直面する社会的課題を踏まえて行われます。

少子高齢化が進む中、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護ニーズのさらなる増大が見込まれています。一方で、生産年齢人口の減少により介護人材の確保が難しくなることが予想され、社会保障費の増大も大きな課題です。

実際、高齢化の進行に伴い、医療や介護などの社会保障給付費は増加の一途をたどっており、2040年度には約190兆円に達すると見込まれています。

こうした状況を受け、厚生労働省は地域包括ケアシステムの深化・推進自立支援・重度化防止介護現場の生産性向上と働きやすい職場づくり、そして制度の安定性・持続可能性の確保を柱とする改定を打ち出しました。

在宅での生活を支援し、給付と負担のバランスを取りながら質の高いサービスを効率的に提供していくことが目指されています。

 

施行時期

今回の介護報酬改定の施行時期は、サービス種別によって異なります。

■令和6年6月1日から施行

訪問看護

訪問リハビリテーション

通所リハビリテーション

居宅療養管理指導

 

■令和6年4月1日から施行

訪問介護

訪問入浴介護

通所介護

短期入所生活介護

短期入所療養介護

特定施設入居者生活介護

福祉用具貸与

居宅介護支援

介護老人福祉施設

介護老人保健施設

介護医療院

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

夜間対応型訪問介護

地域密着型通所介護

認知症対応型通所介護

小規模多機能型居宅介護

認知症対応型共同生活介護

地域密着型特定施設入居者生活介護

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

看護小規模多機能型居宅介護

2024年度介護報酬改定では、サービス種別や項目によって施行時期が異なるため、各事業者は自らが提供するサービスの改定内容と施行時期を確認し、対応が必要です。

国は将来的には全てのサービスの施行時期を6月にしたい意向を示していますが、報酬改定と介護保険事業計画の策定時期のずれなど、自治体の事務負担等の課題もあるため、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

 

2024年度介護報酬改定の主なポイント

 

1. 改定率

2024年度の介護報酬改定において、介護報酬全体の改定率は1.59%プラスとなることが決定しました。

内訳としては、1.59%のうち0.98%が介護職員の処遇改善を目的として、また残り0.61%が介護職員以外の処遇改善を目的として引き上げられます。

また、1.59%の引き上げ以外にも、処遇改善加算の一本化や光熱水費の基準費用額増額による介護施設の増収を理由に、0.45%相当の引き上げ効果が見込まれており、合計で2.04%相当の引き上げとなることが見込まれています。

2. 地域包括ケアシステムの推進

地域包括ケアシステムとは、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを一体的に提供する体制のことです。

少子高齢化が進む中、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護ニーズのさらなる増大が見込まれています。こうした状況を踏まえ、地域包括ケアシステムの深化・推進が重視されています。

 

3. 医療と介護の連携強化

医療ニーズが高い方への対応力を高めるため、医療と介護の連携が一層推進されます。

具体的には以下のような項目があります。

 

■ 入退院時の連携強化

高齢者が入院した際や退院する際に、医療機関と介護事業所がスムーズに情報を共有し、切れ目のない支援を行えるよう、新しい加算を創設

・退院時共同指導加算(訪問リハビリ)

医療機関の退院前カンファレンスに参加し、共同で指導を行った場合に算定

 

・退院直後の診療未実施減算の免除(訪問リハビリ)

退院直後1か月は、入院時の医療機関の情報提供があれば診療未実施減算を免除

 

■ 施設入所者への医療連携

介護施設に入所している利用者が体調を崩した際に、協力医療機関の医師が適切に対応できるよう評価する加算を新設

 

■ 施設入所者の急変時の往診に対する評価(介護施設)

協力医療機関の医師が施設入所者の急変時に往診した場合に算定

 

■ 医療・介護連携体制の構築

医療と介護が連携して、高齢者の状態に応じた適切なサービスを提供できる体制を整備

 

・医療機関と介護施設の連携推進加算(医療機関・介護施設)

医療機関が介護施設の協力医療機関となり、連携体制を構築した場合に算定

 

4. 自立支援・重度化防止

自立支援・重度化防止に向けた取り組みが推進されます。リハビリテーション、口腔ケア、栄養ケアの一体的な取り組みを評価する加算が新設・拡充されています。

5. 介護現場の生産性向上

介護人材の確保が課題となる中、介護現場の生産性向上が重視されています。ICTやロボット技術の活用を促進する加算が新設されました。

 

6. 処遇改善加算の一本化

これまで並列していた複数の処遇改善加算が、「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。最大で+6.4%の加算率となっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/001223662.pdf

 

一本化に伴い、職場環境の改善や資質向上支援、両立支援などの取り組みが新たに求められます。

このように、2024年度介護報酬改定では、地域包括ケアの推進、医療と介護の連携強化、自立支援・重度化防止、介護現場の生産性向上などが重視されています。事業者は改定内容を理解し、適切な対応が求められます。

 

事業者に求められること

 

介護報酬改定後のサービス内容の確認と提供に向けた準備

介護報酬改定では、基本報酬の改定や新たな加算の創設、既存加算の算定要件の変更など、様々な変更がありました。

事業者は自社が提供するサービスについて、一つひとつ改定内容を確認し、新設された加算があれば、算定要件を満たすための準備を進めましょう。

自立支援・重度化防止に資するため、リハビリテーション、口腔ケア、栄養管理などを一体的に提供できる体制づくりも求められています。

 

 

医療機関との連携強化に向けた準備

今回の改定では、医療と介護の連携強化が大きな柱となっています。

事業者は連携する医療機関を選定し、役割分担を明確にするなど、スムーズな連携に向けた準備が必要です。

また施設系サービスでは、協力医療機関との定期的な会議の開催など、日頃から連携を深めておくことが重要になります。

 

人材を確保するための環境整備

今回の改定では、介護職員処遇改善加算が一本化され、職場環境の改善に向けた取り組みが加算要件に組み込まれました。

事業者は職員の賃金改善はもちろん、キャリアアップ支援や休暇取得促進など、働きやすい職場環境の整備に努める必要があります。

また、介護ロボットやICTの導入により業務の効率化を図り、職員の負担を軽減することも重要です。

 

さいごに

介護報酬改定は事業者にとって大きな転換点となります。

改定の趣旨を理解し、サービスの質の向上と経営の安定化の両立を目指すことが何より大切です。

 

参考

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001195261.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000917423.pdf

 

介護事業の持続可能な成長には、多角的なアプローチと実践的な事例からの学び、経営チームとスタッフの力の結集、そして業界全体での協力が不可欠です。弊社の伴走支援サービスは、これらの課題に対処し、事業の成長を支援するための多様なソリューションを提供します。

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介護経営総合研究所 代表 五十嵐太郎
名古屋大学経済学部を卒業後、株式会社リクルートにて通信事業、ブライダル事業、マーケティングに従事。
その後、民間介護会社、社会福祉法人にて大規模な経営改善を実現。2021年4月介護経営総合研究所を創業。
改善実績:採用コスト2,000万円削減、離職率5割削減、採用単価3万円で200人採用、人材紹介・人材派遣0
人材紹介会社費用の9割減、利益率4倍、薬剤師応募を1時間で獲得他多数。